徐放技術とは?
洗濯洗剤や柔軟剤では、粘着性のあるマイクロカプセルやナノカプセルと呼ばれる極小カプセルに香料や抗菌剤、消臭剤などの成分を詰め、繊維に絡みつかせ、温度や湿度の変化や摩擦などの刺激で長時間カプセルから中身を放出させ続ることができる徐放技術が用いられていることがあります。
商品の成分表示には書かれていませんが「香り長持ち」「除菌・抗菌効果が続く」などと謳っている商品には、たいてい使われている技術です。
このような極小カプセルが環境中に拡散することは、香害が拡大する大きな要因となっています。
マイクロカプセルの壁材
マイクロカプセルの壁材は、メラミン樹脂やウレタン樹脂などプラスチックと呼ばれる合成高分子材料が一般的です。
マイクロカプセルの中は空洞になっていて、液体や粉末などの芯物質を封じ込めることができます。
用途や設計によってマイクロカプセルの大きさは異なりますが、洗濯洗剤や柔軟剤で使われるマイクロカプセル大きさは、一般的に数μm(マイクロメートル)から数十μmです。(1μmは1mmの1000分の1の大きさ)
マイクロカプセルの壁材が破けることでマイクロプラスチックとして環境中に飛び散ったり、素材の合成高分子材料が劣化することでホルムアルデヒドやイソシアネートなどの揮発性有機化合物(VOC=volatile organic compounds)が発生する恐れがあります。
体調不良をおこす成分が混じった空気を吸わされ制限のある生活を強いられている人たちがいるのに、企業秘密の方が守られているってどういうことなんだニャ
マイクロカプセルの芯物質
大気中に浮遊している小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5μm以下の非常に小さな粒子のことを微小粒子状物質(PM2.5)といい、肺の奥深くまで入りやすく呼吸器系や循環器系への影響が心配されていますが、それよりも小さな粒子がマイクロカプセルの芯物質として封入されていることが画像からわかります。
芯物質は、香料、抗菌剤、消臭剤、安定剤など、皮膚に付着したり呼吸で吸い込むと体調不良を起こす可能性のある成分が含まれています。
大きさのめやす
1μm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1
- 日本人の髪の毛の平均的な太さは約50μmから100μm
- 花粉症を引き起こす花粉は約30μm
- 浮遊粒子状物質(SPM=Suspended Particulate Matter)は10μm以下
- 黄砂は約4μm
- 微小粒子状物質(PM2.5)は2.5μm以下
- 細菌は約1μm
- ウイルスは約0.1μm
そんなもの吸い込み続けたくニャいんだニャ
マイクロカプセルを使った商品の問題点
マイクロカプセルは肉眼では見えないため、わかりにくい問題点をいくつも抱えています。
- マイクロカプセルを使った商品が多く安価で手に入れやすいため有害性を知らないまま使う人も多い
一度繊維に絡みついたマイクロカプセルは何度洗っても完全に落とすことが難しい
マイクロカプセルがあらゆるところにくっついて移香するなど、商品を使っていない人にまで影響が及ぶが商品を特定することが難しい - 洗剤と柔軟剤を使って洗濯し、室内干しすると床や衣類から42万個の微粒子(マイクロカプセル)が検出
夥しい数のカプセルが長時間かけて香料や抗菌剤などを次々と放出している
マイクロカプセルに封入された成分は何年経っても分解されず残っていることがある - 洗剤と柔軟剤を使って洗濯すると900種程度の化学物質を検出
日本では未規制のEUアレルゲン物質など問題物質が含まれている可能性がある
多種の化学物質のうち中毒やアレルギーのような体調不良を起こす人もいて、香害をきっかけに化学物質過敏症を発症する人も増えてきている
- 洗濯機の節水設計や洗剤や柔軟剤の自動投入機能と、濯ぎ1回でOKなどと謳う商品との兼ね合い
濯ぎの水量や回数が少なく洗剤や柔軟剤の成分が衣類に残りすぎている - 常時香っていることによる嗅覚疲労
香りが薄くなってしまったと思い込み、適正量以上に洗剤や柔軟剤を使う人がいる - 生活排水から流れ出た香料が水棲生物に取り込まれている
香料を含んだシジミが発見されている - 本来なら気にするほどでもない体臭を気にさせるよう不安を煽るようなCMが繰り返されるマーケティング
香ることが解決策ではないのに、病院へ行かなくても大丈夫なレベルの体臭の人までも香り商品に依存するようになっている - 健康被害がおきたことをメーカーに報告しても「安全性が確認されたものを使用しています」と繰り返すばかりで誠意のある対応を全くしてくれない
実際の健康被害をメーカーに矮小化されるため、被害者はさらに心にも傷を負う - メーカーはテレビ番組の大スポンサー
スポンサーの商品のため、テレビでは香害の問題を取り上げない - 厚労省は何年経っても病態解明の途中
健康被害があることは認知されているが成分の特定が難しいため、有害成分の規制にまではまだ遠い - 洗濯洗剤や柔軟剤は薬事法などの法律外のため、成分表示の義務がゆるい
雑貨に分類され、基準値以下の成分表示は省略しても良いことになっている
日本石鹸洗剤工業会は洗濯洗剤や柔軟剤の業務用パッケージに化学品の危険有害性を表すGHSマークを表示する自主基準を設けているが、家庭用商品には表示しなくて良いことになっているため、危険性を知らない人が多い
何度も絶望を感じたことがある被害者もたくさんいるんだニャ
メーカーへの提言
2023年10月6日に開始されたオンライン署名があります。
2024年1月に署名を大手メーカーへ提出する場が設けられましたが、引き続き署名は行われています。
とてもわかりやすく書かれた署名詳細と、提出時ことが書かれた記事がありますので、未読の方は是非ご覧ください。
オンライン署名<STOP!マイクロカプセル香害>メーカーは「マイクロカプセル香料」などの「長続き」製法をやめてください!
国(5省庁)への提言
日本石鹸洗剤工業会への質問
もっと詳しい情報を!という方には、こちらのサイトもオススメです!
マイクロカプセルの構造について
マイクロカプセルについて – マイクロカプセルの機能|富士フイルム
香料におけるマイクロカプセルの応用例|富士フイルム
マイクロカプセルとは | 複合微粒子研究室のホームページ
大気環境について
揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制 | 大気環境・自動車対策 | 環境省